パリ五輪のボクシング日本代表に内定している男子57キロ級の原田周大(専大)=北九州市出身=が今夏の祭典での躍動へ準備を進めている。初挑戦の原田は昨秋のアジア大会の屈辱をばねにして、鍛え上げた拳で金メダルを目指す。(山田孝人)

 初の夢舞台へ闘志はみなぎるばかりだ。原田が目指すのは昨秋の杭州アジア大会での雪辱だ。「どこまで自分は成長できているのか。決勝でボコボコに負けちゃって。差があったな」と振り返る。

 杭州アジア大会では銀メダルを獲得した。決勝まで勝ち上がってパリ五輪の出場切符を手にした一方で、決勝では世界王者にKO負け。「ちょっと絶望に近い感じ。(左)目の(下の)骨も折られちゃって」。敗戦の残像は今も鮮明だ。

 小6から北九州市の「HKスポーツボクシングジム」で競技を始め、名門の豊国学園高へ進んだ。高校時代に日本一の経験はなく、専大で2021年に全日本選手権バンタム級を制した。スピードのある左ジャブを軸に、軽快なフットワークを持ち味とする。

 これまでのキャリアでは、悔しさを味わってもはい上がってきた。最大の武器は強靱(きょうじん)な心だ。パリ五輪まで5カ月を切り「今はもうやる気がみなぎってます」と笑顔を見せる。

 年明けから地元の北九州市を拠点としており、岡沢らとの海外遠征も挟みながら鍛錬に励む。故郷では練習場所の提供を受けるなど手厚い支援に支えられており「北九州が本当に好きなんで。ここにメダルを持ち帰りたい」と感謝する。不屈のボクサーは雪辱を果たしての恩返しを狙う。